「能勢×イタリアン」で、お客さんにかけがえのない思い出を
Tatsuhiro・能勢(イタリア食堂 パスタとピッツァの店)菜の花の「緑」に、カラスミの「橙」が合わさっていく。
「この春は、能勢で採れる菜の花に、今熟成させているカラスミを合わせた料理を出そうと思ってるんですよ」
そう話すのは、『タツヒロ・能勢』オーナーシェフの越科弘(こしな ひろむ)さん。
フランスでの修行、調理師養成校の教員等を経て、箕面市でイタリアンレストランを20年間営んでこられました。そして、6年前に故郷である能勢へ移転。「能勢×イタリアン」というスタイルで、能勢の食材を主役とした様々な創作イタリア料理を提供されておられます。
「菜の花と手造りカラスミのパスタ」試作風景
「能勢×イタリアン」というスタイル
移転した場所は、元々越科さんのお父様が営んでいた喫茶店。ここは、約50年もの間、地元の方々に愛されてきた「能勢初の喫茶店」だったそうで、当時の屋根看板などが今も残されています。
越科さんがこだわる「能勢×イタリアン」というスタイルは、”お父様が地元の方々と育んでこられた50年の歴史に、自分らしさを加えていく” きっとそうした想いを具現化していくものなのでしょう。
地元の市場等を巡り「いい」と思ったものを仕入れ、豊富な知識と経験を活かして生み出される『タツヒロ・能勢』の創作イタリア料理。そんな郷土愛の詰まった料理の数々は、食べる人たちにその食材のもつ魅力を存分に届けてくれます。
店内の壁に飾られたたくさんの写真。人とのつながりを大切にする越科さんのお人柄は、こうしたところにも溢れています。
「モノ」ではなく「コト」を提供したい
しかし、越科さんがお客さんに届けたいのは、料理そのものだけではありません。提供する料理を囲んで交わされる会話や笑顔、そうしたひと時が幸せな時間であってほしい、かけがえのない思い出になってほしいと話されます。
「味」だけでなく「心」を大切にするレストラン。たくさんの人たちが何度も足を運ぶのも納得ですよね。そして、長年地元の方々に愛されてきたお父様の想いは、間違いなく越科さんに受け継がれているのだと確信しました。
『タツヒロ・能勢』外観。赤い屋根看板には、お父様の営んでいた喫茶店名が今もかすかに残っています。
菜の花の「緑」に、カラスミの「橙」が合わさっていく。
それは、お父様が積み重ねてきたものを、越科さんなりに受け継いでいく姿を表しているかのよう。
そして、自然豊かな能勢のまちに降り注ぐ、やわらかな春の日差しのようにも映ります。
取材日:2025/1/31
写真/ぼぎぃ
取材・文/ぼぎぃ