忍者の真髄を学べる道場——忍術の本質と魅力に迫る
忍道蜻蛉館日本の歴史の中で、忍者は長く語り継がれてきた存在です。
しかし、一般的に知られている忍者像の多くは近年のフィクションに基づいたもの。
本物の忍者とは何か、忍術の本質とは何かを学べる道場が、自然豊かな能勢町にあります。
本物の忍術とは、そして道場のコースについて
日本忍者協議会――
それは、これまで謎に包まれてきた忍者という存在を日本の文化資産として世界に発信すべく作られた、世界唯一の忍者の公式組織です。
日本忍者協議会公認「師範忍」は世界で10名、大阪にはただ一人。
その人こそ、この道場を運営されている「大介」さんです。
この道場では単なる体験にとどまらず、日本忍者協議会の級位を取得することが可能。
コースは5種類あり、初心者向けの2時間の1日コースから数年単位で本格的に段位を目指すコースまで対応。他の道場や学校に講師として招かれることもあり、忍者の正しい伝承を広めることに力を入れています。
忍者の本質は「何があっても生きて帰ること」。戦闘や暗殺といったイメージが先行しがちですが、それは近年のフィクションに少なからず影響されたものです。
たとえば、忍者の武器とされる「手裏剣」についても、十字や卍型の手裏剣は実際の忍者が持ち歩くにはあまりにも不便など、フィクションからの誤解を解き、史実に基づいた本来の忍術を正しく伝えることにも力を注いでいます。
火遁や土遁といった技の語源も「とんずら」の「遁」と同じで、生存を最優先する思想が根底にあります。そのため、付随する武道も単なる戦闘技術ではなく、生きて帰る手段、争いを避けるための手段として教えられています。
忍術だけではない、多才な講師の顔
この道場の師範忍・大介さんは、忍術(陰忍師範五段)以外にも多くのスキルをお持ちの異才の持ち主。弓道・なぎなた・少林寺拳法・空手・銃剣道・剣道など、数々の武道を修めた証書や賞状が道場内に飾られています。
それだけではなく、映画の衣装制作や役者の演技指導を行うことも。
さらに、釣りのプロ、大工や建築士としてのスキルも持ち、この道場もDIYで作り上げたものだとか。さらにはバリスタの技術まで持ち合わせ、まさに多才な忍者といえます。
海外からも注目される本物の忍者道場
この道場には、日本人だけでなく海外からも多くの人が訪れます。
特に外国人は忍者文化への敬意が深く、ここがショーではなく本物の忍術を学べる場であることを理解し、真剣に学びに来られるそうです。
さらに「忍者は山奥にいるもの」というイメージもあり、能勢町の自然の中にある道場までの道のりも楽しみのひとつとなっているそうです。
自然に囲まれた環境で忍術の本質を伝授。
大介さんがこの場所に道場を開いた理由は、「本物の忍術を伝えるため」でした。
街中ではどうしてもショー的な要素が強くなりがちですが、忍術の本質を伝えるには、自然に囲まれた環境が適していると考えたのです。
コロナ禍で道場に適した古民家が見つからず、倉庫をDIYで改装してこの道場を開設。
1階は道場、2階は衣装制作工房になっており、3階には異世界のような空間を作成中とのこと。まさに、多才な大介さんならではの独創的な発想が光ります。
忍術との出会いと情熱
大介さん自身、幼いころは病弱だったものの、スポーツを通じて体力をつけ、その後さまざまな武道に挑戦。しかし、どの武道も「競うこと」が前提だった中で、「戦わないことが基本」という忍術の考え方に強く惹かれました。
そして、日本忍者協議会の顧問・川上仁一先生に師事し、通常20年かかる最高段位をわずか数年で取得。その情熱と探求心は、現在の道場運営にも活かされています。
忍者に興味がある方、単なるエンタメではない本物の忍術を学びたい方には、この道場はまさに最適な場所。ぜひ、能勢町の豊かな自然の中で、忍者の真髄に触れてみてください!
能勢町のおすすめスポット(春夏編)を聞いてみました!
道場のある能勢町には、忍者修行の後に訪れたい魅力的なスポットもたくさんあります。
観光センターくるす:
国道173号沿いにある鍋料理の店で、季節によっては熊肉を味わうこともできます。
淨るりシアター:
能勢町の伝統文化を楽しめる劇場で、石川五右衛門の物語には忍者も登場します。
山空海温泉:
自然の中でゆっくりと癒される温泉施設。
取材日:2025/1/11
取材・文/佐田
写真/佐田